haruyama: 2018年11月アーカイブ

日本一の工場

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田原コンサートという工場を知っていますか?日本一の工場!(と僕は思います。)

映画「三丁目の夕日」や「ひよっこ」に出て来るような街工場です。

夢と希望と人々の思いやりにあふれたあの時代にタイムスリップしたような工場です。

1960年の創業以来ずっと真面目に物づくりをしてきました。

 

昭和の高度成長の時代からオイルショック、バブルを経て、阪神大震災、円高、リーマンショック等々にも負けず、頑固にモノづくりを貫いてきました。

先代は、日本に数人しかいないと言われるマイスターの一人に選ばれました。

それを継いだ二代目。先代以上にスーツが好きで好きで、(サーフィンも大好き(余談)、スーツの事を語りだしたら、「クレージージャーニー」に出てくるような旅人と同様に熱く、ホントに楽しそうに語ります。

 

さらに、この街工場は、世界と勝負をしています。毎年田原で作った商品を、世界最高峰のパリコレのステージで、カリスマモデルたちが身につけて闊歩しています。

パリコレに出ている日本製のスーツを一番多く作っているのがこの工場だそうです。

一着一着、手作りで、同じものはありません。

そんな服が欲しくて、誰でも知っている芸能人や会社社長さんらも、口コミで田原を知り、ここにオーダーをしています。まるで、ミシュランに載っていなくて、知る人ぞ知る隠れレストランのようなものです。

 

何よりすごいのは、モノづくりに掛ける思い!プライドです。

田原でスーツ一着を作る工程は、なんと350工程。(袖をつけたり、表地と裏地を縫い合わせるといった工程)その工程一つ一つに人が絡んでいます。

どれくらい凄いかと言えば、ワイシャツでは30工程、その10倍。

普通の既製品のスーツと比べても(普通は200から250工程ほど)田原では、100工程も多い。さらに、工程全てを一流職人の手で手掛けている!

これをプラモデルに例えると、作るときのパーツの数や作業が30%増、つまりは、100以上多い事になる。いったいどんな完成度の高い物が出来るか想像つかない。さらにその全ての工程を名人が手掛けるとなると。

そんなガンプラ見てみたくないですか?

 

田原では、服地のカットから始まり、細かい縫製のほとんどが手作業で、特に最後の「仕上げ」と呼ばれる作業にその集大成がある。通常のスーツでは、一着5分から10分程度で済ませる所を田原は、2時間もかけている。

これを、自分の部屋の掃除に例えると、さっと5分で片づけるか(いつもの私(汗))

2時間かけて、きちんと整理整頓するかで奥さんの評価が違う(笑)

 

掃除と同じで、この350の工程、手をぬこうと思えば、いくらでも手抜きが出来る。

しかし、決して妥協しない。工場に漂う田原品質を守ろうとする空気が、それを拒む。

この工場に入り、その空気を吸ったが最後、2つのウイルスに感染する。その感染力たるや、インフルエンザ並みの威力がある。

一つは、明治神宮や伊勢神宮の森に一歩足を踏み入れた時の心が浄化される感覚。それに近い。

2つ目は、武道の試合で、日本武道館に入った時。試合の緊張感と負けられないとする意識。これが心に直接注入される。

 

そういったものが一着一着のスーツに作り手の愛情として縫い込まれる。

日本全国に何百と存在した国内独立系スーツ工場は、もう一桁しかない。

こういった工場を、残さないといけないと思う。これは日本遺産であり、我々の大切な財産である。

 

今回の学び「遺産とは、一人が始めて、仲間が育て、そしてみんなの財産となる。」

 

おまけ1

工場内に、ふと若い女性がいた、聞いてみると前歴はドイツにバレエ留学していて、そこで服に魅せられ、真のモノづくりがしたいと、この工場に来たという。いつか自分が作った服がパリコレのステージに立つことを夢見て。

 

おまけ2

ルノアールの父親は仕立て屋、母親は針子だった。だから、ルノアールが描く洋服は、非常に繊細で美しい。ただ、晩年、彼が一番得意としたのは、服を着ていない裸婦というもの面白い。

はじめまして! 治山です。 今回から、ブログというものに挑戦します。 「をとこ(男)もす(る)という日記というものを、社長もして心みむとて、するなり。」というか、 「つれづれなるままに・・。」という心情でしょうか。

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