ド素人の絵画展2 17世紀のダースベイダー カラヴァッジョ展
カラヴァッジョ展、そこは美術館と言うより映画館の様だった。
会場の奥の壁には、スクリーンのかわりに一つの絵が掲げてある。
画中の女スリは、今まさに金持ちのぼんぼんから財布を盗もうとしている。その一瞬がまるでヒッチコックの映画のワンシーンのように描かれている。凄くリアリティを感じるが、一方、何でこんな題材を、選んだのかが気になった。
画家の名はカラヴァッジョ。
今話題のEU統一紙幣以前のイタリアの最高額紙幣の肖像として使用されていたらしい。(日本で言えば福沢諭吉)驚くべきは、かのダビンチやミケランジェロを押さえてである。その栄光とはうらはらに、彼の人生は、黄金色よりむしろ血に塗られている。
誰もが羨む才能を持ちながら、それをコントロールしきれず破滅へと落ちていった。常に、ダークサイドとライトサイドを行き来した。
誰かに似ていないか?そう彼は17世紀の「ダースベイダ―」である。
彼の驚くべき人生をダースベイダーと比較してみると、
1.
青年カラヴァッジョ: ミラノからローマに出て来て、極貧生活をしていた彼に大きなチャンスが訪れる。ローマ教会の枢機候(デルモンテ)のパトロンがついたのだ!
少年アナキン・スカイウォカー(後のダースベイダー): 砂漠の惑星タトゥイーンで、奴隷の子として暮らしていた彼は、後の師匠になるオビワンに拾われて、惑星を脱出する。
2.
カラヴァッジョ: この枢機卿の下、最高の環境の中でひたすら作品に取り組む。この数年で現代まで残る作品を数多く残した。その中の「聖マタイの召命」では窓からの聖なる光を描く。この光こそが、神の啓示の如く、後の画家に多くの影響を与えることとなる。
アナキン:オビワンの下、ひたすら修行にはげみ、ジェダイとして大きな才能を開花させた。ある時は、師匠のオビワンさえ上回る活躍をし、帝国の危機を何度も救った。
このころが彼らの絶頂期だったであろう。
3.
カラ: 一方、その絶頂期において、たった2日で祭壇からはずされた作品があった。それを指示した司教は、その絵を見て「すぐれた技術を持つ画家の作品かもしれないが、その画家の心は邪悪で善行や礼拝などといった信仰心のかけらもないに違いない。」と言ったという。
アナ:彼の能力に対する賞賛の中、ヨーダのみが、彼の中にある深いダークサイドの存在を指摘する。
4.
カラ:やがて、彼の生活はどんどん荒れていく。傷害事件も数多く起こすようになり、作品の美しさと反比例して、絵筆よりナイフを持っていた時間が多かったという、ライトサイドが、強くなればなるほどダークサイドが広がっていく。
アナ:ジェダイの修行のさなか、大きな力を持った彼は、その力を復讐の為に使ってしまう。母を殺したサンドピープルを女子供構わず皆殺しにする。その残虐さは、後のダースベイダーを見るようである。
そして、ついにその日が来る。
続きは次回。