てーせつ(大切)なのは、いま、世界一のもの、日本一のものを作っているってぇこと。
そいつを考えるだけで、なんか身体中が暑く、いや失礼、こっちの暑さじゃなくてこの熱さ、この
熱いものが込み上げてくるってえもんだぜ。
メーカーと何度も何度も試着品を作っては、やり直し、作ってはやり直し、お互い喧嘩もしたもんさ。
しかしね、本当にこの商品が出来た時には、彼らと抱き合って喜んだもんでさぁ。
年甲斐もなく、熱くなってねぇ。
ああ、世界一が出来たなぁってもんよ。
その作品が、今、店頭に並んでいるってーこと。
こっぱずかしい話、名前を付ける時は、めっぽう迷いやしたがね。
自分の子供のように愛情をたっぷり注いで作ったってんで、愛の一文字をとって、シャツは
「アイシャツ」、パンツは「アイパンツ」ってー名前にしやした。
もちろん長男はスーツ。こいつは、本当に難産でした。
今まで誰もやったことがねえ380グラム。
コツコツやってきて、ふっと振り返ると、世界一の物が出来上がった。丁度今はやりのスカイツリー
みたいなもんでさぁ。
どうぞ、見てやってくだせい、着てやっておくんなせい。どこをどうとっても、どこに出しても恥ずかしく
ない子供たちばっかりでさぁ。
ちきしょうめ、店頭で小奇麗に並んでやがる。こいつらを見てたら、涙が出てきやがった。
さあ、暑い夏にはとびきり(の)涼しい顔で、これが日本人の粋ってやつでさぁ。
買って下さるお客様の誰も彼もがいい面(つらぁ)してやがるじゃねーかよ。
『よぉ!だんな!男前!日本一!』
おっと、また涙が出てきやがった。年をとるってーと、涙もろくなっていけねーやな。
さあさ、よってらっしゃい、見てらっしゃい、男前の大振る舞いだ。
男も、女も、男前になりに来やがれぇ!
注1:この話は、決してスカイツリー開発秘話ではありません。
お間違えないように(笑)
注2)岡山生まれの者が、慣れない江戸弁を使っているので、本場の方々にはお聞き苦しい
点も多々あると思いますが、それは、江戸っ子のきっぷの良さでご勘弁を。
/治山