飛んでいて、感じる事。
普段の飛行機と全然違うのは、いつまでたっても機体が水平にならない。常に機体は45度くらいの角度で、空を突き刺しに行く矢ように、上がり続ける。
身体を支えるものがない「く」の字集団は、カーブを曲がる際の満員電車のように、後ろの人への圧が強くなり、一体感と密着度が増す。リアル ワンチーム!死ぬときは一緒、運命共同体!笑えない。
ダイビング地点まですぐに着くかと思ったが、30分位はとんでいる。それもずっと45度の角度で。上に上にと。
鉄腕アトム、ウルトラマン、イカロスも飛んでいる時は、こういう気分だったのかな?と思う。
ふいに、脳裏にユーミンの「ひこうき雲」のフレーズがリフレインする。宮崎アニメと共に。「空にあこがれて♫ 空を駆けてゆく♪」
今、自分はそれを体感しているんだな。
白昼夢に浸っていた中で、
「そろそろですよ」という声で我に返ると、飛行機はようやくフラットに。
狭い機内は急にあわただしくなり、スタッフの人達が立って。後方の広いドアを開ける。
狭く、止まっていた空間に、勢いよく入ってきた冷たい空気が、みんなに語り掛ける
「さあ、ドアの外は見たこともない世界ですよ。思い切って飛びましょう!こちらにおいで!」という感じで・・。
さっきまでのグダっという雰囲気から、みんなやや緊張!ドアの外を体験したいんだけども、大丈夫?
たぶん、のび太が初めて「どこでもドア」を体験した時の気持ちは、こんなのだったのかなと思う。向こうの世界は興味あるが、不安・・。
全員が、服と防風メガネを再チェックし覚悟を決める。みんな、徐々に引き締まったいい顔になってくる。これから戦場に向かう兵士ように。
まずコーチ数名飛び降りる。もちろんコーチは何のためらいもなく。玄関出かけるお父さんのように、どんどん飛び降りていく。
見ているとこれは、すごい。大がかりなマジックのよう。横にいた人が、瞬時に消える。
僕の番は最後。
フランス人のおばさんも、リタイア直後のシニアの男性も、そして家族と共にピクニック気分でお弁当を広げていたお父さんも・・。次々に「どこでもドア」から飛び出していく。
さあ、いよいよ僕の番。
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