チャーチルは、よく怒る。
子供のようによく怒る。
秘書に対しても、政敵に対しても、国王に対しても、そして自分にさえ。
ただ、一番怒っているのは、国家を揺るがす独裁者に対してだ。
だまるな、にげるな、にやけるな。
なぜ誰も怒らない?
だれも怒らないなら俺が怒る。
妥協はしない、大切なものを守るために、一人でも怒る。
見た目は英国紳士――シルクハットに、三つ揃えスーツ、ステッキに、葉巻。
心は、バーバリアン!(野生人)
ささいな怒りは、小人物の印、大きな怒りは、大人物への道。
なぜ怒る?
悪が許せない!
すぐにあきらめる仲間がイラつく。
そして、若い命を救えない自分自身にいら立つ。
突然、あらしがきた。
このままでは国が亡びる。愛する国が悪に下り、一番大切にしているものが奪われ、
蹂躙される。
たったひと月で、ヨーロッパ全てが支配された。
フランスもベルギーもオランダも。
みんなどうした?
味方が毎日減っていく。
敵は日々巨大となる。
我々だけで、巨大な敵に勝てるか?
負ければ、国家が無くなる。
さあチャーチル、決断しろ!
戦うか屈するか、どちらを取る?
可能性が低い勝利か、可能性が低いヒトラーの口約束、どちらを取る?
正義による大きな犠牲か、悪による平和の可能性、どちらを正解?
どこにも正解はない。
さあチャーチル、決断しろ!
怒りは、答えを教えてくれない。
内閣崩壊、味方は去り、若い命は失われ、そして妥協の声が大きくなる。
和平交渉を!和平交渉を!
みんな、敵はヒトラーではなく、チャーチルに向けた怒りになっている。
なぜだ?もういいか?楽になろうか?
いやいや、ぜったい諦めない。一番の武器は、あきらめの悪さ。
諦めなければ、不幸の方が諦める。
そう信じて、怒る。
もっと力を、もっと強さを。
その時、一緒に戦ってくれる仲間が戻ってきてくれた。
国王だ。
さらに、一番悩んだ時、天からのアドバイスをもらう。
「国民に聞け」
この国で一番怒っているのは、自分とばかり思っていた。
でも違った。
一番怒っていたのは国民だ。
議会では、100人聞くと100人勝てないという。
しかし市民100人に聞くと、100人戦うという。
勝つか負けるかではない、この国のために!
この言葉が欲しかった。この言葉でもう一度心に火が付く。
市民にもらったマッチのように、葉巻を吹かす火のように。
市民の心が、消えかかった戦意に火をつけてくれる。
一人一人から怒りのエネルギーをもらう。それは悪と戦う最大のエネルギーとなる。
その後、チャーチルと国民の悪に対する怒りは、五年間消えなかった。絶やさなかった。
そして、怒りの炎は悪の軍団を燃やし尽した。
ビクトリー、勝利した。
怒りあとには、台風の後の青空のように夢を実現した男の満面の笑みがあった。
我々は現代に続く正義を手に入れた。
我々は後の歴史から結末を知っている。最後は正義が勝つと知っている。
でも、正義が勝つためには本当に多くの勇気と怒りのエネルギーが必要だったと知る。
いつから我々は、怒る事をやめたのだろう。
いつから我々は、最初に妥協を考えるようになったのだろう。
4月、多くの新入社員が誕生する。妥協を求められながらも、悩むと思う。
そんな時、不条理に対しては、怒るという心の炎を絶やさないで欲しいと思う。
注)お分かりの方もいると思いますが、実はこのブログ以前に「こはぜ屋 泣き泣き」編と対となっています。もしよければ、読み比べて戴ければ幸甚です。
今回の学び1
「川の流れに流されるより、逆らう方が大きな力がいる。しかし、川に逆らったものだけが山の頂に近づける。」
今回の学び2
「仲良しの条件は平等のはず、しかし偽物の仲良しは服従。」
今回の学び3
「北風と太陽若者から見ると、彼は北風に負けなかった。同時に太陽にも負けなかった。
常に若者は自分のやりたい事を貫いた。これが一番強い。」
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