マスターズは特別なトーナメントで、いつもこの時期になると朝早くからテレビにかじりついて、選手たちの神業に心を揺さぶられる。
しかし、今年の大会はそれ以上の意味を持つ大会になった。
ご覧になった方は、お分かりと思うが、最終日の後半からローズとガルシアのマッチプレーのようになった。
常に冷静なローズに対して、崩れそうになりながらもガルシアが首の皮一枚で留まり、さらに立ち直ってスーパーショットによってイーグルでトップを奪うと、負けじとローズがバーディーで並び返す。最後の最後18番ホールでもスーパーショットを繰り返し、決着がつかずプレーオフとなった。
この死闘ともいえる戦いの中で、お互いをたたえ合い、最高のショットで一歩も譲らない。いつの間にか正座をして見ていた。テレビを見ながら、本当に心が熱くなった。この二人は僕にとっては特別だ。
なぜなら、僕はこの2人とラウンドしたことがある。
もう10年以上も前で、確かローズもガルシアも20代半ばか前半だったと思う。僕も30代だった。
ローズ君は、色白でまだ本当にあどけなさが残る美青年。やたら背が高く、はにかみ気味だった。一方ガルシアは、ラテン系特有の茶目っ気たっぷりのいたずらっ子のようで、常に明るく、憎めない感じがした。一見小さく見えても、筋肉もりもりの骨太だった。
二人とは、とても気が合い、日本の陶器のカップを渡すとすごく喜んでくれた。
それから10年以上の時を経て、その彼らが最高の舞台で、戦っている。
彼らの顔を見ると、僕も含めお互い年を取ったなあと思う。ただ、とてもいい歳をとったと思う。
ローズ君は、あのあどけなさやはにかみ気味な様子は全くなく、どんな場面でも慌てず、乱れず冷静に判断する、まさに勝負師の顔になった。ガルシアは、感情を隠さない点は昔と一緒だが、ここぞという時には、目の奥に炎が燃えているような格闘家のような表情がある。
ココ・シャネルが「20歳の顔は自然の贈り物、30歳の顔は生活の結果、50歳の顔はあなたの功績」と言った。
2人とも、この15年くらいでいろんな修羅場をくぐり、勝負をしてきたのだろう。
今回、ガルシアは初のタイトルを取った。
本当に嬉しい!おめでとう!
ローズは残念だったけど、必ずチャンスがあると思う。
いつか、彼らとまたゴルフをする機会があったら、何を語ろう。語らなくてもお互いの顔を見て、いろんなことがあったけど、お互いいい人生を歩んできたなと笑い合えたら最高だろう。それまでに、彼らに負けないようにもっともっといい顔になりたいね。
今回の教訓「『人は見た目が9割』というのは、年を重ねるごとに、その人の人生が9割顔にでるという事かもしれない。」
追伸
Dear ガルシア
優勝おめでとう!! 本当に凄かったね!
あの頃のやんちゃでラテン系の君が目に浮かぶよ。
そうそう君がグリーンジャケットの下に着ていたのが、adidasのウェアだったね。
今うちの会社もadidas社と組んで、adidasスーツを売っている。これが君のドライバーみたいにビッグヒットになってる!
君も頑張っているけど、僕も頑張っているだろう?(笑)
今度ぜひ着てもらいたいね、多分君にぴったりだと思う。本当におめでとう!