「世界の果てまでイッテQ」という番組がある。
普段は、笑いが8割くらいの質のいいバラェティだが、年に一度イモトが世界最高峰の山を登る企画の時だけは、違う番組になる。
一度見ると分かるが、例えば、気軽に時代劇を見ていたつもりが、突然途中でガチンコ真剣で殺し合いが始まるようなものである。
最初見た時は衝撃だった。お笑いタレントがここまでやるか?というよりここまで出来るかというものだった。今回の企画も、本当に死と隣り合わせ、たった一歩足を踏み外せば、ほぼ間違いなく死ぬ。リアルに死ぬ。しかも、挑戦しているのはプロの登山家ではなく、いちお笑いタレントなのである。プロでも、命を落とすという山に毎年挑戦し続けて、成功させている。(マッキンリー(植村さんがなくなった)、マッターホルン、モンブランなどなど))
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録画してまだ見ていない方は、見た後で読んでください。結末が分かります。(著者注)
自分がやっているわけでもないのに鳥肌が立つ。
今回も多くのドラマがあったが、一番感動したのは、途中最大の難所での出来事。体力との闘いというより恐怖との闘い。ほぼ垂直の岩壁面と氷を自分の手と足だけで5時間以上も登る。足元は滑りやすく、実際何度も足を滑らせた。バンジージャンプやジェットコースターがいくら怖いといっても、命は保障されている。しかし登山は、失敗=死である。本当に怖いと思う。比較にもならないが、台風の中、都庁のてっぺんの外側を15センチほどの幅で歩き続けろというようなものかもしれない。いやもっとだろう。
話を戻すと、今まで世界中の難所を6つも制してきたイモトでさえ、足がすくんで一歩も、進めなくなった。場所は3500mを超えたところである。進むのも下がるのも出来ない。
体力も限界で、心が折れて、涙が止まらない。「助けて!」と叫ぼうが誰も助けてくれない。「ムリ!怖い!」を繰り返す。
周りのスタッフも助けることはできない。無理強いすることは死をも意味する。本人が気持ちを立て直して、登るしかない。
人が米粒のような、絶壁と強風の中で、全員が硬直状態。完全に気持ちが折れて、泣き顔で小さく丸まっていたイモトに、突然氷の小石が降りかかる。いくつもいくつも降りかかる。頭に当たる。痛い。痛い。どうして突然氷の小石が!と上を向くと、ガイドが上から投げている。「イタイイタイ!やめろやめろ!」ガイドはやめない。
イモトが叫ぶ、「痛いじゃないか!やめろ、何やってんだよ!」ガイドは笑いながら投げ続ける。そこでイモトの怒りは頂点。「ふざけるんじゃないよ!」
縮こまんでいた手足が再び動き出す。怒りのエネルギーが恐怖に勝ち。再び登り始める。「ふざけるな!」と叫びながら1時間30分以上登り始める。イモトの涙が止まったが、こちらの涙は止まらなかった。
そして、最後、刃物の先と言われる平均台のように前の人を歩いた足跡から少しでも外れると氷河まで転落するルートを緊張を持って歩き続け、スタートから約6時間 登頂! 本当に感動した!
そして学んだ。
人間、最後の最後では、感情が勝る!
いくら言い聞かせて、納得させるよりも、あるいは論理的に納得させようとしても感情の方が強い。
心理的に、どうしようない状態の時、特に短期間の場合は「怒りは最大のパワーになる。」これを改めて教えてもらった。
今回の学び 「人間 新の逆境の際、「論理」より「怒り」のパワーの方が勝る!」
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