カラヴァッジョ展でのメモ
第一部では絵の感想は、なかったので、第二部で感じた事を書く。いつものようにド素人の勘違い感想と思って読み飛ばしてください。(あくまで個人メモレベルなので)
0.「バロック」――辞書で調べると、ポルトガル語で「ゆがんだ真珠」の意。均整のとれたルネッサンス美術に比較して、自由かつ不規則でグロテスクな装飾過剰ともいえる様式。
1. バロックの中心人物。カラヴァッジョの仲間――ルーベンス、エルグレコ、ベラスケスなど、重く神聖で、高そう。
2. カラヴァッジョの功績として闇――それまでの宗教画の全て光。闇は存在しない。しかし現実の世の中には闇がある。この切口は、彼の心の闇がなしえた功績だろう。
3. カラヴァッジョ作品について
「バッカス」――ぽっちゃり感、半裸体が非常にリアル。彼自身男女共に趣味だったのではないかと想像させる。
4.「果物籠を持つ少年」――この少年の表情も怪しいが、この絵では、主役は果物。リンゴは手に取って食べたいほどのリアリティ、ブドウもみずみずしい。面白いのは、果物はピントが合っているのに、人物はピントがぼけている。へたくそな写真のよう。しかし、それも果物に目が行くように、計算された手法。恐るべし。
5.「メドゥーサ」の盾は、素晴らしい。闇の浮かぶ鬼気迫る表情は、400年経た今でもとびかかってきそう。お化け屋敷でかかっていたら怖いだろうなぁ。絵の力によって、相手をひるまさせる力がある。さすがはメディチ家が所有するほどの名画。
6.「ナルキッソス」は凄くいい!――ナルシストの語源の神。水に映った自分の姿にキスをしようとする彼は、舞台の一場面を見ているよう。
7. 逃亡前と逃亡中は絵筆の繊細さが違う――「エマオの晩餐」を描いた時は追われている身、とにかく急いでいるのか?実にシンプルに描いている。この荒さもすごくいい。最低限で最大の効果。装飾過剰はバロックの特徴ではあるが、出来るだけいらないものを除いて描いた絵の方がいい。ルーベンスは、盛り込み過ぎ傾向だろう。
8.「トカゲにかまれる少年」――指の描き方で、カラヴァッジョ派の上手い、ヘタが見える気がする。この作品の指! 「痛っ」と口以上に手がしゃべっている。
9. リベーラ、パリオーニ、マンフレディ、ホンホレスト、ラトゥールなどがカラヴァチェスキ、フランチェコツエリユリの中では良かった。しかしあまり知らない。
10. 誰かが書いた「彼の肖像画」――現代の指名手配のポスターに出てもおかしくない。顔に人柄は出るなぁ。
11. とにかくこの画家は、「絵画とは理想的な情景を描くものである。」ということを徹底否定する。――あくまで現実のこだわり、巡礼者の汚い足の裏もリアルに。描いている最中の静物のグラスに売った自分の姿さえ描く。
12. 今回「法悦のマグラダのマリア」が、見れただけでも良かった。マグダラのマリアが、神と一体となり昇天する直前の恍惚の表情が、すさまじい。半分腐りかかっているような、肌の色に、白目をむいた眼からは、一筋の涙がこぼれている。400年封印されていたこの作品が、今回の見れたのは本当にラッキーであった。400年の間の人々はさぞや見たかったであろう。
残念な事に、この絵は個人の持ち物らしい。次回はいつ見えるのだろう。まさにカラヴァッジョ同様、闇に消えるがごとく封印の作品である。
コメントする