「私をマラソンに連れて行って!」
会場で歩いて15分くらいだが、とにかく何もかも初めて、会場にはスタートの約1時間前についた。本当に多くの人が集まってきている。バブル期のスキー場「私をスキーに連れていって」の世界(笑)を彷彿させるように、会場には色とりどりの衣装(ウェア)に身を包んだランナーが鮮やかに咲き乱れていた。
ランナーたちは、それぞれの姿勢でストレッチをしていた。やる気オーラが会場を包む。
僕もスタッフに荷物を預けて、軽くストレッチをして、スタート地点向かった。
今回、始めて知ったがスタートは、過去のタイムごとにスタートエリアが分かれていて、100M位の縦長となっている。
最後列のエリアの選手のスタートは、最初のエリアの選手より20分ほど遅れるとのこと。丁度、巨大駐車場から車が一台ずつ出ていくようなものである。そりゃないよ!
さらに今回は、全ての選手は最初の選手のスタート時点でタイムが始まる。ということは最後の方は、5時間40分で走らなければならない。涙!
前もって教えてもらったように、自分のエリアの最前列まで、まるで満員電車内で前に移動するように前にすすむ。僕もいいポジションが取れた。後はスタートを待つばかり。
20分ほど、知事をはじめ各人の挨拶がが続く。ランナーよりむしろ挨拶をする人の方が、興奮状態ぎみ(笑)
僕としては、とにかく早く出発さえてももらいたいの一心だった。
さて残り1分になり、時計を再チェック。脈拍は少し高く100弱。距離を正確に測れるようにスタートボタンを押した。
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「最初は満員電車」
号令と共に、いよいよスタート。確かに最初は渋滞の自動車の如く、走るというより歩く感じ。実際、最初の2キロくらいまでは、歩かされている感覚。丁度満員電車から押し出されて、改札に向かう一段のように、集団行動のように前に前に足を踏み出していく。ここではまだ走るという感覚はない。
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「やって見なきゃわからない、やればわかる」
このまま実況中継を続けていると、5時間以上かかるので(笑)
実際走って見て、心に刻まれたことを短く取り上げてみよう。
・ 「余裕なし」
よく24時間テレビを見て、ランナーはもっと沿道の人々に愛想よく手の一つでも振るべきじゃないの!と無責任に考えていたが、いざ自分が走ってみると正直とてもとてもそんな余裕がない。まずは、初心者は、沿道を見る余裕がない。沿道を見るには首を90度くらい、そちらに向けないといけないが、これがけっこうしんどい。
・ 「マイナスに一つ加えるとプラスに」
前日の雨でアスファルトがぬれていた。これが普段より走りやすい。道路がぬれている分だけ、足が滑るように前にでる。雨降って地固まる、マイナス「-」も考え方を1つ「Ⅰ」加えると、プラス「+」になる。関ジャニではないが「前向き、前向き!」
・ 「心拍数200」
15キロを過ぎたあたりで、ふと時計を見ると脈拍が200近くに上がっていた。マジで。特にしんどくないのに脈拍はえらく高い。時計が壊れているのかと思ったが、とにかくペースを大幅に下げてゆっくり走った。このまま200が続けば、絶対最後まで持たない。
140台まで持っていかないと。しかしゆっくり走っても深呼吸をしても、下がらない。
おかしい。次の給水所かトイレで呼吸を整えることにした。幸い、そこで立ち止まってポカリを飲んだら130台まで下がった。これが後から考えると大きかったと思う。無理をしていたら確実にゴールはなかった
・ 「印象派」
少し高い丘から見下ろすと、前の一本道幅(20m位)いっぱいに走るランナーが、大きな川を描いた印象派の絵のように見える。様々な色の点の集合で、キラキラしている。それはまるでモネかスーラのタッチのようだった。
・ 「スーツはいいぞ」
正直、スーツでマラソンとは、僕自身もビビッていたが、走ってみると意外と快適である。本当に!前も開いているので、結構涼しいし、何より左右のポケットにアイポッドや飴など入れて取り出すのがとても楽!本当に売り出そうかなと思った(これは冗談!)
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・ 「みんなでマラソンを楽しもう!」
事前の参加要項では、「仮装は禁止」とあったが、思いっきり仮装をしたランナーが多くいた。彼らは、決して害ではなく、すごくいい。我々走っているランナーもそれを見て、大いに和む。そして沿道の人も自然と笑顔になる。こういった仮装は大歓迎だろう。
ルパンの仮装には沿道から「ルパンがんばれ!」とか、岡山らしく桃太郎や頭に桃をつけ、おしりは破れて桃尻が見えるような笑える仮装のランナーもいた。
ハロウィンの日にマラソン大会があったら、どんなレースになるだろうかにやにやしながら走っていた。
・ 仮装の1人に、大阪「喰い道楽」の人形の仮装のランナーがいた。例の赤と白のストライプの衣装、帽子とメガネもあり。よく見ると65歳くらいのおじいちゃん。その衣装はどう見ても手作り。おばあちゃんが作ったのか?後半しんどそうにして、何度も立ち止まりながら、必死で完走目指していた。大阪にいてた時、何度も見て、なんか親近感がわく、なんとか頑張ってもらいたいと願った。
・ 一番印象に残ったのは、夫婦で伴走して走っているカップル。後ろから見ると「本日から夫婦です」という文字と半分ずつの大きなハートマークのイラストが見える。二人合わせて完璧なハートマークとなっている。初めての共同作業がケーキカットではなくマラソンとは、本当に人生はマラソンみたいなものを「じ」でいっている。
・ 正直走ってみると、20キロくらいまでは、知らないうちについている感じ。みんなと走っている。あるいは沿道の声援にあと押しされる。そして何よりも3~5キロごとの給水のお蔭だろう。練習で孤独で走っているより、全くスムーズに走れた。「マラソンもみんなで走れば怖くない」
・ 沿道の応援の姿も面白い。ドリンクや食べ物を持ってきて「食べて食べてと」知り合いのランナーに「なんでも好きなこと言って!」という人もいた。
・ 「一転 野戦病院」
20キロを過ぎた時点から、道に足を投げ出して足首とか、ふくらはぎなどをストレッチする選手が急に多くなる。みんな険しい顔をしている。「どうにか足動いてよ!」と問いかけるような人もいた。
・ そして、25キロ位を過ぎた時点で、救急隊に保護されている人や、担架で運ばれる人が出てくる。救急車も2,3回見た。運ばれている人たちに意識はない。改めて、過酷なレースということで身が引き締まる。
・ 40キロの地点で、ボロボロになり救急隊に解放されている人を見る。その横で友人のランナーが、「なんとかゴールさせてあげて!」と涙声で訴えている。
・ 脚は最後まで、ほとんど痛くならずにもってくれた。途中すこし足の甲が痛むことがあったが「気のせい」にした。また、最後の最後はポーチの中のエアーサロンパスが保険となった。備えあれば憂いなし。備えは、それを使う時よりも、使わない間の余裕をもたらす効果の方が高い。
・ 自分よりもっとシンドイ人を考えるともっと頑張れる。僕の場合は、少し苦しくなった時は、本当に前日の「ダイアナ」が支えになった。
(つづく)
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