「そしてフィニッシュ」
・ 最後の難関、高低差が全コースで一番大きい児島大橋を抜けて、いつもの練習場、旭川河川敷に来た。
気が付くと、ゴールが意識できるところ37キロくらい。有難いことに、練習で43キロ走った時とは全く違う。足もまだまだ軽い。今回、運よくばてるということはなかったのは、緊張感と適度な給水が良かったと思う。アドバイス通り、全ての給水所でポカリをもらった。バナナも食べた。きびだんごも食べた。一つだけ「小豆島ラーメン」があったがラーメンフェスタのように長蛇の列だったのやめた。みんな走りより食い気?(笑)
・ 今、振り返ると「ランナーズハイ」と言ったものだったか分からないが、最後のバテ防止に、35キロを過ぎたころから、「サムディ」(佐野元春)と「イマジン」を交互に聞いた。 「サムディ」は文字通り、心が躍る!聞いてるうちに自分が何でもできる気がして、ここまで30キロ以上も走ってきた疲れなどふっとんで、まるで空港などの歩く歩道を早足で進んでいるように足が出ていく。もう葉っぱが落ちた桜並木を「サムディ」の鼻歌を歌いながら、どんどん過ぎ去っていった。すごく気分爽快な時間だった。
一方イマジンを聞くとさらに不思議な感覚になった。イマジンを聞きながら走っていると何度もゾーンに入る感覚があった。
イマジンを少しかき消すような沿道の声援が、急に消えて、頭の中にはジョンレノンの声しか聞こえなくなる。それに合わせるように彼らの動きがスローモーションに見える。手の振りも、口に手を当てて応援する姿も、そして一生懸命振る旗さえも・・。
スローモーションの観衆とイマジンのBGMの中、自分があたかも映画の主人公になった如く、一歩ずつ大地をけって走っていく。今までも走りを振り返るように、そして自分の人生を振り返るように、時間も周りの景色もゆっくりゆっくり過ぎ去っていく。
子供のころ見た映画「マイウェイ」を思い出した。
こんな経験は二度と出来ないであろう。そして、これが体験できただけでも、今回走った価値があった。
・ 最後の1キロ 最後のカーブを曲がるところに、「はるやま」応援チームがいた。なんの事前予告のないまま、こっちが赤面する位、ファイトの文字や、僕の顔写真、そしてはるやまのロゴマーク。否が応でも目に飛び込んできた!社員が大きな声で「社長1社長!」と声援を送る。照れながら手を振るのがやっとだった。有難く、そして恥ずかしい。そして、それを過ぎると家族の姿も見えた。ゴールは近い!
・ ついにスタジアム。いつもファジアーノ(地元のF2チーム)を応援しているグランドを自分が走っている。客席には大勢の観客。スクリーンには自分たちの姿。ここでも照れくさい。しかし少しでも長くこの時間が続けばと思った。
・ そして、ゴール。身体よ、よくもってくれた!ありがとう、ありがとう!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ゴール後 追記」
・ 仮装した人が、完走できない?いやいや、ゴールにはカエルだの、クマだのいる。桃太郎と鬼とラムちゃん(これも鬼?)が抱き合って喜んでいる。AUの宣伝のように(笑)ふつうじゃない光景。
・ ゴールには、盲目のランナーもいた。伴走者に手を携えてもらい走っている。人間どんなハンディキャプを追っても、ゴールは出来ることを実際に見せてもらった。
・ ゴールをして、備前焼特製のメダルとタイム証明書をもらった(凄い、嬉しい)
主催者の方々(大体知り合い(笑))や、今回5キロ以上走った伊原木知事もいて、一緒に写真を撮った。
「噂では、聞いていたけど本当に走るとは思いませんでした。」そりょあそうやな(笑)
・ ゴールをしてコース沿いを帰っているときに、のこり数キロのところで必死で走っているランナーたちを見た。ほんの数十分前の自分の姿。しかし、残り時間は5分。彼らは間に合わないだろう。ここまで来てゴールできない彼らの心境を思う。しかし、彼らは決してあきらめずに、最後の一秒まで頑張っている。思わず頑張れと声が出た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今回 学んだ5つのこと」
1.「挑戦を想定内にすることで、心のつっかえ棒が持てる!」
エンターテーメント(観光、映画、音楽、本、絵画、などなど)は、一度経験するとその感動は、2度目、3度目となるごとに弱くなりがちである。いわゆるマイナスの方が大きいかもしれない。しかし、こと冒険、チャレンジに関しては、一度も経験した方が、圧倒的に有利と感じた。本番走る前に42キロ以上走ったことが、大きな自信となったし、最後の最後は、「自分は出来る!」という心のつっかえ棒になった。
2.「最悪を想定しておくと、そうでない時の心の余裕が生まれる!」
当日は、雨を想定してありとあらゆる対策をしていた。しかし、実際は曇り!最悪を予想していたら、そうならなかった時に、心の余裕が生まれることを学んだ。
これが逆で、ベストを予想して、そうならなかった時はそれだけで焦りが生まれる。
3.「何かを背負うと強くなれる!」
今回、「家族と会社と社員」の事を祈願して走った。これを祈願したことで、「自分の為に走る」から、「みんなの為に走る」に変わった。同時に途中で絶対やめるわけにはいかないと、より強くなれた。責任は、マイナスではなく、目的を達成するためのエネスギーとなる。
4.「練習でとことんまで追い込むと、本番が楽に、楽しめるようになる。」
知らぬが仏で、練習段階で本番より過酷な条件で、進めたことが本番楽になった。練習では失敗できる。だから、より厳しい条件でやって見るのもいいと思う。そうすると、本番が楽になり、楽しめるようになる。
5.「とにかく最後は、諦めない人がゴールできる。」
本文にも書いたが、
「ネバー、エバー、ギブアップ」(ダイアナ ナイアド)
「絶対あきらめない事。諦めなければ、最悪が最悪で終わらない。最悪の中の最良で終わる事も出来る。」(有森 裕子)
この二つの言葉に、支えられて走り切れた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「最後にみんなにお礼を!」
実はこのブログを書いたのも、助けて戴いた皆さんにお礼が言いたくて書きました。
その割には、前置きが長くなりました(反省)
振り返ると前回の富士山の時もそうだったが、今回の完走は、決して僕一人の力ではない!大変多くの人たちの支えてもらった。それをこの場を借りて心より感謝したい。
有難うございました!!
みんな、みんなありがとう!!
・ スーツで走る!と宣言してから、ストレッチスーツに手を加えてくれて、とても走りやすくしてくれたメーカーさん、ならびに社員。お蔭で非常に快適に走れました!
・ 記事で今回の事を取り上げて出ざるを得ないような状況を作ってくれたライターの方
・ 走る事にいろんなアドバイスをくれたトライアスロン、マラソン経験の友人達
・ ネットでアドバイスしてくれた取引先の会った事もないマラソン達人の方
・ 走り方のワンポイントアドバイスをくれたアシックスの方
・ フェイテン商品を数多く送ってきてくれたファイテン社の皆さん
・ 前々日に、一緒に42.195キロのコースを下見してくれた社員
・ 前日、急きょ 雨の日対策にスーツとパンツを改善してくれた直しの社員
・ 「無理をせず、リタイアする勇気も大切です。」と本気で気遣ってくれた社員
・ 朝一に起きて、競技場まで来てスタート前の励ましをしてくれた社員
・ 沿道で温かく手がちぎれるほど、拍手で応援してくれた社員、
・ これも夫婦で声を張り上げて応援してくれた社員
・ 「はるやま社長、はるやま社長」と これまた僕以上に興奮して応援してくれた社員
・ (後から聞くと)静かに、そっと沿道で完走を祈ってくれていた社員、
・ 何時間も待ってくれて、一番きつい地点でコースに飛び出して(笑)大声で「社長あと10キロ!いける、いける!」と叫んでくれた社員――警備員に捕まるのではないかとこっちが心配した(笑)実際、後でかなり怒られたらしい(汗)
・ 「新店の開店で会場に行けないけれど、遠く離れた店でみんなで応援しています!」とメールをくれた社員
・ 当社のロゴと僕の顔写真の応援ボードを両手に、大応援団で応援してくれた社員――これは走っていて、こっちがおもわず赤面した。
・ このわがままを、ずっと支えてくれた全スタッフ、そして家族
そのほか、みんな、みんな、みんな ありがとう!
「試練は人を優しくする」と何かの本で書いてあったが、
この意味は「試練に陥った時に、いろんな人が助けてくれる。その結果、身に染みて他人の優しさに気づくからだ」と思う。
今回、本当に多くの優しさをもらった。今、僕は以前より少し優しくなれただろうか?
みなさん、本当に有難うございました! もう走りません!(笑)
最終記録(ネットタイム) 5時間14分10秒 7058位