最近、特徴のある映画を3本見た。
≪ゴーンガール≫
何とも後味の悪い映画であった。「危険な情事」や「告発の行方」の後味を思い出した。
サスペンスなので詳細は避けるが、出てくるのは、悪人もしくは弱人(弱い人間)ばかり。
好感を持ったり、応援しようと思う人物はまず出てこない。
割り切ってストーリーの楽しさを追って行けばいいのだが、基本、映画にスカッとした非日常の爽快感
や、魂がゆさぶられる感動を求めている僕としては、映画館を出てウーンと唸った作品であった。
一つ救いと言えば、アカデミー主演女優賞にもノミネートされているロザムンド・バイクの演技力は脱帽
した。彼女の渾身の演技があったからこそ、こんなに後味の悪いものになったという逆説的な物でも
ある。
≪6才のボクが、大人になるまで。≫
題名通り6才の主人公が18才の大人になるまでの12年間を、家族全員が同じキャストで撮り続けた
作品として、超話題となっている作品。
見終わった率直な感想は、アメリカ人のリアルな家族の生活、中学、高校、大学生活ってそうなんだ!
というドキュメンタリー作品を見た感じ。
ポイント、ポイントでいい場面があるものの
(特に、イーサン・ホーク演じるお父さんが僕的には一押し!彼の言葉は常に真理があった)
人の結婚式での成長の記録ビデオを見せられた感じ。
ジョージルーカスの初期作品「アメリカングラフティー」の時代(60年代)からアメリカの高校生って
やっている事変わってないね!と別の意味で感動した。
この実験的な試みに対しても、世界で一番驚きが薄いのは日本人と思う。
なぜなら同じような試みは(それ以上の試み)「北の国から」で我々は体験済みだからだ。
この話をすると大抵「北の国から」みたいじゃん。と言われる。
確かに同一キャストで21年間続いた。
まさにこの物語の倍。と言った意味で、次回作「6才のボクが、中年になるまで。」に期待したい。
そんなのあるの?笑
≪バベットの晩餐会≫
この作品はロードショーではなく1987年のデンマーク作品。この年の米アカデミー賞外国語最優秀
作品賞を受賞した作品。
BSでやっていた物を初めて見た。
僕的には、3作品の中で、一番良かった。ヨーロッパ映画独特の、派手さはなく淡々としたつくりで、
前半緩やかな流れの中にいくつもの布石を置きながら進んでいく。
そして中盤である転機が訪れて、クライマックスに向かう。単純に言うと起承転結。
同様にアカデミー賞を受賞したイタリアの「ライフイズビューティフル」や独米共同作品
「バクダット・カフェ」を思い出した。
共通するのは、雰囲気や空気感だけではなく、その根幹にある人間賛歌という考えと思う。
人間って本当はいい人なんだよ。人生っていいものなんだよ。という声が聞こえてくる。
なぜかバッハのパイプオルガンが聞こえてくるようである。
いい作品は時代を超えて、訴えかける。
今年も米アカデミー賞の季節がやってきた。
今年はどんな作品が選ばれるのであろう?
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