座右の銘はと聞かれると、「受け継ぎて、国の司の身になれば、忘るるまじきは民の父母」と
答えます。(他の言葉を使うこともありますが)
ご存じ 上杉鷹山の言葉です。
先日、テレビで鷹山公の物語を見ました。 改めて大いに感動しました。
ご存じの方も多いと思いますが、その生涯を会社に(現代)置き換えて説明することにします。
まず、義理の父から頼まれ17歳でいきなり、面識のない会社の社長に就任。何と未成年!
就任した会社は、160億円以上の超借金会社、明日倒産してもおかしくない状況。
事実、前社長は、諦めて民事再生(幕府に領地を返還)をしかかった。
経営を今までやったことのない、またオーナーでもない鷹山が立て直せるのか?
会社は万年赤字で、とにかく人件費が多い。その人件費の中身は、さらにひどく。役職を持って仕事を
しない人たち(いわゆるぶら下がり社員)が同規模の会社に比べて9倍もいた。
ふつうこれらは、リストラ勧告だが、リストラは許されない環境の中、若社長鷹山が、まず手を付けた
のは、経費削減。自らの給料を10分の1にして、食事も着る物も質素倹約にし見本を示した。
その上で幹部にも経費削減を課した。さらに生産性向上の為にホワイトカラー管理職(つまり武士)
を営業(農業)に回し、徹底的に新規開拓(新田開墾)をした。
少しずつ改革に手ごたえを感じだしていた就任6年目。いきなり冷や水を浴びせられる。
重役7名による取締役会でのクーデターで、待遇改善、そして社長解任要求。それをなんとか乗り切り、
その7名をクビにした。
その後、開墾だけではとてもでないが借金を返せないと知るや、新規事業を始めた。ろうそく等の原料
となる漆の木の植樹。100万本を大量の資本を投下して試みる。まさに、社運を賭けた大事業。
目のつけどころは良かったが結局大失敗。
競合がより安いろうそくの原料を開発。そのため市場での競争力がなくなり、大量に苗を買った借金
のみ残る結果となった。
悪いことは続くもので、個人ではどうしようもない東北大震災並みの自然災害が起こる(浅間山大噴火)。復興費用も膨大にかかり、この2つに事で一気にいままで少しずつ返済していた借金が大きく
膨れ上がる。
社長就任時の160億円の借金が、300億円の借金に。自らの18年の改革が無駄に終わったことを
知り、心身ともに疲れ果て、その2年後、全ての責任を取り社長辞任。
後継者に譲り、みずからは引退の身。当年35歳であった。
新しく就任した新社長は、鷹山の経費削減運動をあざ笑うかのように徐々に経費を増やし、さらに財政
は厳しくなった。いよいよ残された道は、破たんか民事再生しかないと幹部全員が思ったその時、
誰からともなく鷹山の社長復帰を望む声が広がる。
会社の絶対絶命の危機に際し、昔でいう老体に鞭を打って、第2期の改革に挑むのである。
(続く/治山)
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