治山です。
たまたま寄った本屋の手書きおすすめPOP(小カード)に引かれて衝動買いした本が、とても心に
響きました。
「海の翼」 新人物文庫 著者:秋月 達郎
その副題が、「トルコ軍艦エルトゥールル号 救難秘話 いつの日か、かならず日本に恩返ししなけ
ればならない」とあります。
あまり内容を語るのは、良しとしない派ですが、みなさんの読書欲を邪魔しない程度に、物語を
つづると。
副題の通り、物語は明治に端を発します。
当時、遠路はるばる来たトルコ親善使節団が日本で海難事故に遭い、それに対し明治天皇を含む
当時のトップから国民が一致団結して、彼らの命を救うという事実ががあったそうです。
そして、その100年以上後、ある事件においてトルコの人たちが、大きな決断でもって日本人を救って
くれる。まさに100年以上続く日本とトルコ両国の友情を描き切った作品です。
今まで、私は何度か論語の「義を見てせざるは、勇なきなり」という言葉を心に持って、行動してきた
勇気ある経営者の話を聞いてきました。
危機に至った時に、ただ単に思うだけではなく行動すること。この行動によって何かが生まれ、そして
助けてくれる仲間が必ず出てくる。
実は今回の震災に対する会社を超えたキャンペーン「セーブビズ」キャンペーンも、この言葉に
よって始まりました。そして、今多くの仲間と運動の輪が、どんどん広がっています。
話を基に戻すと、この本では、何度か日本とトルコの両国が関係する危機が登場します。
その時その時に、やはり勇気を持って行動する人たちが先頭に立ち、そして仲間が生まれ
危機に打ち勝っていきます。私が大好きな『坂の上の雲』の時代の明治の人たちも登場し、勇気を
持った決断、行動も感動させられます。
100年以上前に日本は、トルコの人たちを助けたという事実。そして、それを受けて後のトルコの
人たちが立ち上がって日本人を助けてくれたという事実。
この事実を恥ずかしながら、私は全く知りませんでした。
両国のそんな濃い関係、そしてそんなことがあったなんて一切知りませんでした。
よく、「貸した金は覚えているが、借りた金は忘れている。」といわれますが、私は「恩」は逆だと
思います。与えた方は忘れても、受けた側は忘れるべきではない。
私たちは、明治の恩の事は忘れていいにしても、わずか25年前に受けた恩を忘れている。
さらに、ほとんど報道も教育もされない。私も含めて、そんな恥ずかしい国民になったのかと大いに
反省しました。
今回、東日本大震災関連で、我々は多くの恩を各国から受けました。これを時間と共に
忘れ去るか、やはり心に刻み、更にはその記憶を、受け継いでいくかで、大げさに言えば、
今後国際社会での日本の評価が決まると思います。
トルコと日本の関係について、再度ゆっくり調べてみようと思います。そして、いつかは
トルコに行ってみたいと強く感じました。
/治山