治山です。
先日、登山をしてきました。と言っても私はそういった趣味はない故、本格的にされている方に
とっては、山歩き程度と思います。遭難の心配も全く無い山ですし。
それでも朝の6時に登山口を出発して、そこに帰ってきたのが夜の6時、昼食、休憩を挟みながらも
12時間も歩き続けていました。
友人の社長たち計6人で、登山というよりもっぱら精神修行の要素が高いものでした。
とにかく歩け歩け、最初はみんな気分良くピクニック気分で(大雨の中)歩いていたのもつかの間、
1時間、2時間経つ内に無言になり、そして修行と変わりました。
その中でも大きな感動が3つありました。(実は数限りなくありましたが、誌面の都合もあり(笑)
あえて3つとさせていただきます。)
1つ目は苔の感触、水の感触。いわゆる景色はガイドブックである程度紹介されており、プロが撮った
写真は、現物以上に素晴らしいものもあります。(例えば居酒屋のメニューの写真と現物の差を想像
していただければ分かると思います。)
しかし、実際の感触、体感はその場で経験しないと分かりません。僕にとってはあのうっそうと生えて
いる苔を触った時の感触。例えて言えばちょっと長くカットしたベントグリーンのやわらかい感触です。
ほわっと柔らかい手の感触が身体を優しくしてくれました。そして水の味。手ですくって飲んだ湧き水
の冷たさと素直さ、水が身体中にしみこんでいく感じでした。
2つ目はモンベル製のすごさ。
みんな社長連中ですから、とにかく道具に凝る。登山口までのバスは道具自慢でした。
まるでゴルフのクラブ自慢、釣りの竿自慢のごとく。
その中で(私もそうですが)モンベル製のゴアテックス素材の靴とカッパを用意していました。
当日は朝から雨。もちろんみんなモンベルの雨対策の完璧ないでたちでスタートしました。
土砂降りの中で何時間歩いても全く中は濡れない、さらに中の熱を放出して蒸れない。軽い。
山登りのニーズに痛いほど応えてくれている。これは、「一回これを経験すると次も必ずモンベル+
ゴアテックスになるよね。」というのは正直な感想でした。例えて言うなら、山登りのリッツカールトン
!!といった感じでした。
さらに付け加えて言うと、山登りは道具!用意周到は身を助けてくれる。道具に何度助けられたか
分からない。
3つ目は、これが一番の感動でしたが、一緒に登った体重100キロ(本人いわく99.5キロ)の友人の
1人が、途中リタイアしかけました。はたで見ても歩いていると言うより、足を引きずっている感じで、
見ても痛々しい。気力体力をフルに使って、みんなで励ましながら頑張っていたのですが、
「もうだめ。」と言ったとたん電池が切れるように止まってしまいました。
足をたたいても、揉んでも復活しない。まさに限界を超えた様子でした。
6人みんなで登ろうと言ってスタートしたので、みんなが必死で励ましたのですが、彼の姿を見ると
もう気の毒で「頑張れ」とも言えません。
もうここで待っていてもらい、後の5人で登り、帰りに行くしか選択肢がないと思った瞬間。
ガイドさんの1人が、たすきみたいなものをザックから取り出しました。そして彼の足にその紐を掛け
始めました。何が始まるのかと我々が見守る中、「よいしょ」っと、なんと彼をそのロープ一本で
おぶったのです。
ガイドさんはちなみに体重50キロ程度。その彼が100キロの人をおぶったのです。
そして彼をおぶったまま、激しい崖を進みました。
彼を持ち上げた途端、我々から「おー」というどよめきが、そして崖を進み出したときには、何か
信じられないものでも見ているようで言葉を失いました。
後から聞いてみると彼は現地のレスキュー隊の隊長らしく、いわばプロ中のプロだったのです。
それにしても目の前で見ると感動以外の何ものでもありません。
そのおかげで、もちろんみんなでゴールし、感動と一生の語り草とともに帰ってきたのは言うまでも
ありません。
山と山男たちに思いっきりパワーと感動をもらった山登りでした。
/治山
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